2026年の中国・国慶節では、旅行者数が前年を上回った一方、旅行者1人当たりの消費額は減少しました。中国の旅行需要は引き続き高いものの、消費者は旅行先やホテル、食事、体験の価格を慎重に比較しています。
日本のホテルや観光施設が中国インバウンドを獲得するには、「日本で人気」「高級なホテル」と訴求するだけでは十分ではありません。価格に含まれるサービスや現地での過ごし方を具体的に伝え、旅行者が納得して予約できる情報を用意する必要があります。
本記事では、中国の旅行者数と消費額の変化を整理しながら、中国インバウンド施策におけるRED(小紅書)、Douyin(抖音)、WeChat(微信)の活用方法を解説します。
中国の国慶節、旅行者数は前年比6.3%増加
中国文化・旅游部が2026年10月9日に発表したデータによると、7日間の国慶節休暇における中国国内の旅行者数は、延べ8.26億人回でした。
出典元:https://www.mct.gov.cn/whzx/whyw/202610/t20261009_967315.htm?utm_source=chatgpt.com
比較可能な日平均では、2025年と比べて次のように増加しています。
- 中国国内の旅行者数:前年比6.3%増
- 中国国内の旅行消費額:前年比4.3%増
- 旅行消費額:合計7,383.75億元
- 旅行者1人回当たりの消費額:約894元
旅行者数の伸びに対して、旅行消費額の伸びは緩やかです。単純計算による旅行者1人回当たりの消費額も、前年を下回りました。
この結果から、中国では旅行をする人が減っているのではなく、旅行先や宿泊施設、現地体験を慎重に選ぶ傾向が強くなっていると考えられます。
中国人旅行者は「安さ」より費用対効果を重視
中国人旅行者の消費額が伸び悩んでいるからといって、低価格の商品だけが選ばれているとは限りません。
重要なのは、支払う金額に対して、どのような体験が得られるかが分かりやすいことです。
例えば、日本のホテルを中国向けに紹介する場合、「高級温泉旅館」「絶景を楽しめるホテル」と伝えるだけでは、他のホテルとの違いを判断できません。
中国人旅行者が予約前に確認したいのは、次のような具体的な情報です。
- 宿泊料金に夕食や朝食が含まれているか
- 客室からどのような景色が見えるか
- 温泉や貸切風呂を利用できるか
- 駅や空港からどのように移動するか
- 周辺にどのような観光スポットがあるか
- 1泊2日でどのような旅行ができるか
- 中国語で予約や問い合わせができるか
中国インバウンド集客では、価格の安さだけでなく、旅行者がその価格を支払う理由を説明できるかが重要です。

中国インバウンドでは「施設」ではなく「旅行体験」を発信する
中国人旅行者向けのプロモーションでは、ホテルや観光施設を単独で紹介するのではなく、旅行全体の体験として発信する必要があります。
例えば、ホテルを紹介する場合は、次の情報を組み合わせます。
- 日本国内での移動方法
- ホテル周辺の観光スポット
- 地域ならではの食事
- 温泉や自然などの体験
- 季節ごとの見どころ
- おすすめのモデルコース
- 旅行にかかる費用の目安
「このホテルに泊まると何ができるのか」まで見せることで、中国人旅行者が具体的な旅行計画を立てやすくなります。
中国インバウンド施策では、RED、Douyin、WeChatの特徴に合わせて、それぞれの役割を分けることが効果的です。
REDで中国人旅行者の情報収集と比較検討に対応する
RED(小紅書)は、中国人旅行者が日本旅行の情報を収集し、ホテルや観光スポットを比較する際に利用される主要なSNSの一つです。
REDでは、きれいな写真を掲載するだけでなく、旅行者が保存して利用できる実用的な情報が求められます。
中国インバウンド向けのRED投稿には、次の内容を入れると効果的です。
- 1泊2日や2泊3日のモデルコース
- 東京や大阪からのアクセス方法
- 宿泊、交通、食事にかかる費用の目安
- 客室、料理、温泉の具体的な特徴
- 周辺の観光スポット
- 写真撮影におすすめの場所
- 季節ごとの服装や注意点
- 予約方法と問い合わせ先
ホテル単体の紹介ではなく、ホテルを中心とした日本旅行のプランとして発信することで、旅行者の比較検討に入りやすくなります。
REDの投稿では、閲覧数だけでなく、保存数、コメント内容、指名検索数、予約ページへの遷移も確認する必要があります。
Douyinでは日本旅行の「体験の瞬間」を見せる
Douyin(抖音)は、短い動画を通じて日本旅行への興味を高める役割に適しています。
施設の特徴を長く説明するよりも、中国人旅行者が「自分も体験したい」と感じる瞬間を見せることが重要です。
例えば、次のような動画が考えられます。
- 客室に入った瞬間に見える景色
- 温泉から眺める夕日や雪景色
- 料理が運ばれてくる瞬間
- 朝食会場の雰囲気
- ホテル周辺を散策する様子
- 季節限定のイベント
- 地域でしか体験できないアクティビティ
動画の冒頭で最も魅力的な場面を見せ、その後に場所、料金、アクセス、予約方法を伝えます。
Douyinでは再生数だけを評価するのではなく、動画の視聴完了率、プロフィールへの遷移、コメント、問い合わせ、予約への貢献まで確認することが大切です。
WeChatで中国人旅行者の予約前の不安を解消する
REDやDouyinで日本旅行に興味を持ってもらっても、予約方法や利用条件が分かりにくいと、途中で離脱する可能性があります。
WeChat(微信)は、中国人旅行者に詳しい情報を提供し、予約や問い合わせにつなげる役割に向いています。
WeChatでは、次の情報を整理しておきます。
- 予約ページへのリンク
- 宿泊プランごとの違い
- キャンセル条件
- 子どもの宿泊条件
- 食事やアレルギーに関する案内
- ホテルまでのアクセス
- 送迎サービスの有無
- よくある質問
- 中国語での問い合わせ方法
REDとDouyinで認知や興味を獲得し、WeChatで詳細情報を伝えて予約につなげる流れを設計することが、中国インバウンド集客では有効です。
RED・Douyin・WeChatの役割を分ける
中国向けSNSを運用する際は、すべての媒体に同じ内容を掲載するのではなく、媒体ごとに役割を設定します。
- RED:旅行情報の検索、比較、保存
- Douyin:短い動画による認知獲得と体験訴求
- WeChat:詳細情報、問い合わせ、予約導線
同じホテルを紹介する場合でも、REDではモデルコース、Douyinでは印象的な体験動画、WeChatでは予約情報とFAQを発信します。
各媒体の特徴に合わせてコンテンツを作り分けることで、中国人旅行者が情報収集から予約まで進みやすくなります。

中国人旅行者向けに複数の価格プランを用意する
中国人旅行者の費用対効果に対する意識が強まるなか、すべての旅行者に同じ高価格プランを提案する方法は適していません。
予算や旅行目的に応じて、複数の選択肢を用意することが有効です。
例えば、次のような3段階のプランが考えられます。
- 基本プラン:宿泊と朝食
- 体験プラン:宿泊、食事、温泉、周辺観光
- 特別プラン:上位客室、限定料理、地域体験、送迎
単純に価格を下げるのではなく、それぞれのプランに何が含まれているのかを明確に伝えます。
中国インバウンドでは、旅行者が自分の予算に合ったプランを選べるようにすることが、予約率の改善につながります。
まとめ:中国インバウンド集客では価格と体験の説明が重要
2026年の国慶節では、中国国内の旅行者数が前年を上回る一方、旅行者1人回当たりの消費額は減少しました。
中国の旅行需要そのものは引き続き強いと考えられますが、中国人旅行者は限られた予算の中で、より満足度の高い旅行先やサービスを選んでいます。
日本企業が中国インバウンドを獲得するには、次の点を明確に伝える必要があります。
- その価格で何を体験できるのか
- 他のホテルや観光施設との違いは何か
- 日本でどのように過ごせるのか
- 交通、予約、言語に関する不安を解消できるか
REDで旅行計画と比較材料を提供し、Douyinで日本旅行の体験を見せ、WeChatで予約前の不安を解消する。
このようにRED、Douyin、WeChatの役割を分け、ホテルや観光施設を「旅行全体の体験」として提案することが、今後の中国インバウンドマーケティングでは重要になります。

